自然の中で子育てしたい。でも、それだけでは決められない理由

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はじめに|「自然の中で子育てしたい」は、誰にとっても理想に聞こえるけど

「子どもは自然の中で育てたいよね」── 夫婦でそんな話をするようになったのは、まだ子どもがいない今のうちからでした。

東京の便利な暮らしにありがたみを感じつつも、 駅も人も仕事も“ぎっしり詰まっている”日常の中で、 「このままでいいのかな?」と心のどこかで感じることがあります。

とはいえ、自然の多い土地に移ればすべてが解決するほど、 移住や暮らしの再設計は簡単なものでもありません。

「自然がある」だけでは選べない── そう感じながら、私たち夫婦がどんなことに迷い、 どうやって“選び方の軸”を整理しているのかをお伝えします。

この記事では、地方移住にあこがれる人や、自然に近い環境での子育てを考えている人へ向けて、 理想と現実をすり合わせながら、“本当に大切なこと”を一緒に考えるヒントをお届けします。

なぜ、自然の中の子育てに惹かれるのか?

私たちは今、東京の便利な街で暮らしています。 駅まで徒歩数分、買い物も医療も何もかもがすぐ手に届くこの環境は、 間違いなく“効率的な生活”を叶えてくれています。

でも、日々の生活のなかでふと感じることがあります。 「このスピード感の中で、子どもを育てるってどうなんだろう?」と。

朝は人混みに揉まれながら通勤・通学し、 放課後は塾や習い事でスケジュールが埋まり、 夜は親も子どもも疲れきって帰ってくる── そんな生活を、自分たちは望んでいるのだろうか?と。

自然に惹かれる気持ちは、 効率よりも“ゆとり”を求めたいという本音の表れだったのかもしれません。

そしてもうひとつ。 私たちには、将来生まれてくる子どもに対して、こんな願いがあります。

「自律的に、自分の意思で選び、人生を切り開ける大人になってほしい」という願いです。

SAPIXに通って、いい大学に入って、大手企業に就職── そんな“決められたレール”を歩ませたいわけではありません。

選択肢が多いようでいて、本当は少ない東京の教育環境の中で、 子どもが“自分の主人公”として生きるのは、想像以上に難しいとも感じています。

自然の中での暮らしには、良くも悪くも「自分で考えて行動する」機会が多くある。 それは、私たちが子育てにおいて何より大切にしたいことと、深くつながっているのです。

もちろん、「自然の中で育てれば、自律性が育つ」という単純な話ではありません。

でも私たちが東京の教育環境に少し違和感を持っているのは、 選択肢が多いようでいて、実際には“王道のルート”に流れやすい構造だからです。

自然豊かな地域や、地方のゆるやかな暮らしの中では、 いい意味で“正解がひとつに決まっていない”ことが多くあります。

どこで遊ぶか、どう過ごすか、誰と関わるか。 環境が与えてくれるものが少ないぶん、 「自分で考えて、選び、行動する機会」が自然と増えるのではないかと感じています。

だからこそ、私たちは自然を求めているのではなく、 「自分で選べる暮らし」を求めているのだと思います。 そして、それを実現しやすい環境のひとつとして、地方での暮らしに惹かれているのです。

でも、自然だけでは選べない現実もある

私たちが「自然の中で子育てしたい」と思い始めたとき、 すぐにその気持ちに飛びつけなかったのは、 “現実の壁”がいくつも頭をよぎったからです。

たとえば──

  • 最寄りの病院まで車で30分以上。もし夜間に子どもが熱を出したら?
  • 教育環境の選択肢が少なく、親が“決める”範囲が大きくなる
  • 共働きでフルリモートができない場合、通勤が厳しい
  • 移住者として地域に馴染めるか不安(孤立や同調圧力)

これらはすべて、「自然に囲まれた暮らし=素敵」だけでは片付けられない、 とても現実的で、でも大事な視点です。

だから私たちは、「自然がある場所に行くこと」をゴールにしないと決めました。

大事なのは、“自分たちが大切にしたい価値観”と“現実として守られるべき安心”の両立。 自然がある場所ならどこでもいいのではなく、 自分たちの理想と条件が交わる場所を丁寧に探す必要がある──そう思うようになりました。

他人の移住体験から学んだこと

移住を考えるようになってから、私たちは本当に多くの体験談を読みました。 SNS、ブログ、YouTube、自治体のインタビュー記事など── “実際にやってみた人”の声は、何よりもリアルで説得力があります。

中には「自然に囲まれて、家族の時間が増えて最高です!」という人もいれば、 「仕事も人間関係もうまくいかず、1年で戻ってきました…」という人もいました。

どちらの体験も嘘ではないし、きっとどちらにも“本音”がある。 だからこそ、自分たちにとっての“移住の条件”を整理しておく必要があると思いました。

成功している人たちには、いくつかの共通点があるように感じます。

  • 移住前に、住まい・仕事・教育・地域の雰囲気を徹底的にリサーチしていた
  • 暮らしやすさと理想のバランスを意識していた(自然だけに惹かれていない)
  • “完璧な環境”を探すのではなく、“折り合いがつく場所”を選んでいた

その一方で、失敗してしまった人たちは──

  • 「なんとなく自然に憧れて…」という気持ちだけで決めてしまっていた
  • 地域の制度や人間関係、仕事の状況を甘く見ていた
  • 「きっとなんとかなる」と思って、準備不足のまま動いてしまった

どれも他人事ではありません。 だからこそ、今のうちに私たちは「条件」や「基準」をしっかりと言語化しようと決めたのです。

感情を否定せず、条件を言語化する大切さ

「自然の中で子育てしたい」という気持ちは、 今も私たちの中に確かにあります。

でもその気持ちに対して、どこかで“冷静にならなきゃ”という自制心も働いてしまう。 理想だけで突っ走っていいのか、本当に後悔しないのか──そんな迷いもずっとありました。

でも最近、こんなふうに考えるようになりました。

感情は、選択の「出発点」でいい。
でもその感情をもとに、「何を大切にしたいのか」を整理することが必要。

私たちは今、自分たちの理想を“願望”で終わらせないために、 「何を条件に、どんな地域なら暮らしていけそうか?」という視点で 暮らしの価値観を言語化しています。

たとえば──

  • 医療アクセスは車で20分以内
  • 自然環境と買い物利便性の両立
  • リモート勤務が可能なインフラ
  • コミュニティが“強すぎない”開放性

「自然の中で子育てしたい」はスタートライン。 でもそこから“自分たちにとっての暮らしの条件”を具体化することで、 選択の失敗を減らし、納得のいく移住準備に近づいている気がしています。

私たちが出した“仮の結論”と、これからの進め方

ここまでの思考と対話を経て、私たちがいま辿り着いているのは、 こんな“仮の結論”です。

自然の中で子育てしたい、という気持ちは本物。
でも、「自然があるから」ではなく「自分たちらしく生きられる場所かどうか」で選ぶ。

自然環境の有無だけで選ぶのではなく、 私たちが大切にしたい条件や、働き方、暮らしの感覚とどう交差するか。 その“交差点”にある地域や暮らし方を、これから丁寧に探していきたいと思っています。

そのために、今できることはたくさんあります。

  • 「自分たちの暮らしの優先条件」を書き出してみる
  • いくつかの地域を候補にして、実際に足を運んでみる
  • 移住支援制度や、2拠点生活の先行事例を調べてみる

このブログでは、“いますぐ移住する人”よりも、“これから迷って決めていく人”に向けて、 リアルな視点と選択のプロセスを発信していきます。

次回は、「じゃあ自分たちは何を条件に移住を考えるのか?」 ── 私たちが移住に求める“7つの条件”を整理した内容をお届けします。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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この記事を書いた人

地方創生に関わる夫と、IT企業でマーケティングを行う妻による夫婦ユニット「ちい夫婦」です。
将来的な地方移住や二拠点生活を見据えて、都市でのキャリアや暮らしの選択を再設計中。
このブログでは、“自分たちらしい暮らし方と働き方”を探る過程を、リアルに発信しています。

\最新情報はXでも発信中/
▶︎ @chii_living

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